共有者全員に対し,全額を請求することができます。
理論的には,「性質上の不可分債務」であることが根拠となります。すなわち,学説・判例は,一般的に不可分的な給付の対価としての意義を有する債務を「性質上の不可分債務」であるとしています。
この点,共有者である区分所有者は,(内部的な取り決めは別として)専有部分の全部について使用収益する権利を有しています。そして,その専有部分の使用収益は,管理組合が行う建物・敷地の管理によって支えられています。管理によって専有部分の使用収益が可能である状態が維持・増進されているという事実は,これを分けることができません。
したがって,管理費は,不可分的な給付の対価としての意義を有すると見ることができます。
不可分債務ですから,債務者の全員に対して,同時または順次に全額を請求することができます(民法430条,432条)。もちろん,そのうちの1人が全額を弁済した場合には,債権は消滅し,他の1人に請求することはできなくなります。