東京地裁H20.11.27判決
(判例秘書登載L06332517)
〈要点〉
規約において、区分所有者に対し別途契約等により駐車場又は駐輪場の専用使用権を設定することができ、設定された場合の賃料額が定められている事案において、駐車場及び駐輪場の各賃料債権を規約に基づく債権と認め、滞納賃料の特定承継人に対する請求を認容しています。
〈判文抜粋〉
・・・本件規約には,本件マンションの共用部分より発生する使用料は管理組合に帰属し,その使用料は管理に要する費用に充当されること(本件規約30条),本件駐車場及び本件駐輪場がいずれも本件マンションの共用部分に含まれ,原告が区分所有者に対し,本件駐車場については別途契約により,本件駐輪場については区分所有権存続中もしくは別途契約により,それぞれ専用使用権を設定できること(本件規約8条,14条1項,別表第2,第4),本件駐車場の賃料額が1台に付き月額2万円であること(別表第4),本件駐輪場の賃料額が1台に付き月額100円であること(同),本件駐車場及び本件駐輪場の賃料支払方法は毎月末日に翌月分を一括払であって,同期限を過ぎるとその翌日から支払済みまで年18%の遅延損害金が加算されること(本件規約59条1,2項)がそれぞれ定められているところ,これらはいずれも「共用部分の管理に関する事項」(区分所有法18条1項)に当たり,規約で定めることができる事項であるから(同条2項),本件規約上の上記各事項の定めは区分所有者及び特定承継人に対して効力を有することになる(同法46条1項)。
・・・以上によれば,原告がCに対して有する本件滞納賃料の債権は,これに対する遅延損害金も含めて,本件規約に基づき原告の構成員である区分所有者全員が総有していることになるから,区分所有法7条1項所定の区分所有者が規約に基づき他の区分所有者に対して有する債権に当たるというべきであって,同法8条の「前条第1項に規定する債権」に該当すると解される。