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2019/03/08

最判平成31年3月5日(電力の個別契約解約強制の可否)

マンション管理に関する新しい最高裁判例をご紹介します。平成31年3月5日第三小法廷判決(裁判所ウェブサイト「裁判例情報」掲載)です。

 事案は、マンション(団地)の管理組合法人が一括して高圧電力の供給を受け、各専有部分へ電力を供給する方式を導入することを総会で決議するとともに、同方式以外で電力の供給を受けることを禁止する条項を含む規則を規約の細則として設定する総会決議を行ったが、団地建物所有者の一部が個別契約を解約しないため、一括受電方式に切り替えることができず、受電方式の変更による電気料金の削減が実現できないでいる、という状況のもと、個別契約の解約をしなかった団地建物所有者に対し、他の団地建物所有者が損害賠償を求めたというものです。

札幌高裁が総会決議を有効とし、損害賠償請求を認容したのに対し、最高裁は、原判決を破棄し、請求を棄却しました。

 

最高裁が理由として述べたことは

1)個別契約の解約申入れは、「専有部分の使用に関する事項」であって、「団地共用部分の変更又はその管理に関する事項」ではないから、これを義務づける決議は、区分所有法17条又は18条に基づく有効な決議とはいえない

2)個別契約の解約申入れを義務づける規約の規定は、「団地建物所有者相互間の事項」(区分所有法30条1項)を定めたものでなく、規約としての効力を有しない

ということです。

そして、上記2)に関し、そのようにいえる理由として

①個別契約を解約するか否かは直ちに他の団地建物所有者等による専有部分の使用又は団地共用部分等の管理に影響を及ぼすものでない

②受電方式の変更は、専有部分の電気料金を削減しようとするものに過ぎず、変更されなくとも、専有部分の使用に支障が生じ、又は団地共用部分等の適正な管理が妨げられることとなる事情がない

ことを指摘しました。

 

ここで注意喚起したいのは、上記最判は、個別契約の解約申入れを義務づける規約の規定を無効と判断したに止まり、専有部分への電気等の供給に関する規約の規定が一般的に全て無効となると判断したものではないということです。

むしろ、その判示からは、専有部分への電気等の供給に関する事項であっても「直ちに他の区分所有者による専有部分の使用又は共用部分等の管理に影響を及ぼす場合」又は「(規約の規定内容が実現されない場合)専有部分の使用に支障が生じ、又は共用部分等の適正な管理が妨げられる場合」には、有効に規約の規定を設けうることが示唆されていると読むことができます。

したがって、大高判H20.4.16(判タ289頁)のように、個別契約を締結することが不可能な事情があるマンションにおいて管理組合が一括受電契約をし、区分所有者に対して規約で電気料金の(管理組合に対する)支払義務を課している事案において当該規約の規定を有効とすることは、上記最判の見解と何ら矛盾しないといえます。

 

さらに進んで、個別契約が物理的には可能であったとしても分譲当初から一括受電契約による電気供給をしているマンションの場合、電気料金の滞納があれば管理組合の財政が毀損し、共用部分等の管理に支障を生じる事態となりうることからすれば、管理組合は電気料金の(管理組合に対する)支払義務を課す規約の規定を有効に制定しうると解して良く、そう解することが最高裁の見解と少なくとも矛盾はしないと私は考えます。

tagPlaceholderカテゴリ: 判例紹介, 管理規約

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